400m

サバイバル登山家の服部文祥さんに誘われて、夢の島競技場へいってきた。
スパイクを履いて、トラックで走るのは16年ぶり。
いやあ、広いトラックのうえに立つと海風がきもちいい。

中学3年のときサッカー部なのに全校生徒が少ないからという理由で市内陸上大会に出た。
というか強制的に出場させられた。
当時はサッカーを真剣にやっていたから体力はあって、400mで優勝してしまった。
もう市内大会で終わりだと思っていたのに県大会まで連れていかれ、「市内大会で負ければよかった」と真剣に思ったことがある。
だって、走っているよりもボールを蹴っていたほうがはるかに面白いじゃんか。
毎日、無表情で走っている陸上部のヤツの気が知れなかった。
なんのためにあいつは同じところグルグル走っているんだ?

でも、いまのぼくの思考回路はようすが違うようだ。
サッカーは団体競技
陸上は個人競技
陸上はとにかく自分との戦いなのだ。
第三コーナーあたりにさしかかると「もうやめちゃえよ」って弱い自分が語りかけてくるのだ。
ゴールしたあとは、もう頭クラクラ息ゼーゼー状態だけどアドレナリンが体中に満ちて、このうえないハイテンションになってしまうのだ。

しかし、だ。
ぜんぜん走れない。
いや〜、焦りましたね。
300mを3本走ったら、自分の足じゃないみたいにもう足がくにゃくにゃ。

このぜんぜん走れない感が逆にぼくの心に火をつけたようなのです。

スパイクを買って、陸上部に入部しようと思う。
大会は秋。
4人で1,600mリレーに出場するのだという。
まずは毎日ランニングだ。
このランニングのあとのビールがまたうまいんだ!

ここでまた、しかし。
メンバーの服部さんや写真家西田さんはお酒を飲まない。
タイムを縮めるためにはビールを飲んじゃだめなのか?
そんな葛藤を頭でくりかえしていると足が勝手に冷蔵庫へ歩いていき、手が戸をあけ、ビールをとり、人差し指がプシュッとあけちまった。

ビールと陸上の両立をめざしたい。